近年、在宅マッサージの認知度は高まり、マッサージ療養費申請数は10年間で600%の増加率となった。同時に2006年4月より施行されたリハビリ診療日数の上限により、代替医療としての在宅施術への依頼も増加している。
現在当所においても、開業以来年々受療者は増え続け、マッサージと鍼灸施術を合わせると、年間2500名を超える方に施術を行っており、これだけの患者を抱えているところは、この在宅マッサージ業界にて他に類をみない。
そこで本研究では当所における患者データ(リハビリ日数制限が施行された2006年を含む3年間(2005年〜2007年)に受療した3975名が対象)を分析、在宅マッサージ受療者の実態報告とマッサージの有用性を明らかにする事を目的とした。
≪受療者≫
期間 / 2005〜2007年の3年間
対象 / 在宅マッサージを受療した3975名
項目 / 年齢、性別、障害者認定、受療期間、同意部位、疾患名、転帰
≪長期継続受療者≫
対象 / 3年間継続して施術を行った613名
項目 / 身体の状況、要介護度
| 2005年 | 2006年 | 2007年 | 患者総数 | 表は、縦に年ごとの表示、右端に全期間である3年間の属性を示している。 平均年齢は全期間において、77歳であり、男性は74.5歳、女性は78.8歳、(最高年齢108歳、最少年齢5歳)であり、男性より女性の方が高いことがわかった。 障害者認定を受けている割合は、平均で51%(2031名)で、これらを男女を別にして算出すると、男性は(男性認定者/男性患者)59.8%に対し、女性は44.8%と、平均年齢が高いにも関わらず障害者認定率は低いことがわかった。 受療期間は全期間にて平均12.8ヶ月。 同意部位は、平均3.46肢で、施術肢数には男女間に差はなかった(男性は3.5肢、女性3.4肢) |
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|---|---|---|---|---|---|
| 患者数(人) | 1635 | 2289 | 2814 | 3975 | |
| 男性 | 706 | 968 | 1155 | 1666 | |
| 女性 | 929 | 1321 | 1659 | 2309 | |
| 平均年齢 | 76.48 | 76.14 | 76.38 | 77.06 | |
| 男性 | 74.25 | 73.25 | 73.27 | 74.54 | |
| 女性 | 78.17 | 78.25 | 78.54 | 78.87 | |
| 障害者認定 | 53.7% | 55.8% | 53.4% | 51% | |
| 男性 | 54% | 66.9% | 66.2% | 59.8% | |
| 女性 | 53.5% | 47.6% | 44.4% | 44.8% | |
| 受療機関 | 7.5/12ヶ月 | 7.7/12ヶ月 | 7.5/12ヶ月 | 12.8/36ヶ月 | |
| 同意部位数 | - | 3.49肢 | 3.46肢 | 3.46肢 |
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神奈川県の全期間の地区別保険申請件数を図示した。横浜市は範囲が広いため、申請件数は県下最大で10000件を超え(12700件)、次いで本社のある藤沢(7100件)、横須賀(5100件)、鎌倉(5000件)の順となった。 その他の地域においても100件以上の申請件数を図示した。 |
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月間の患者数を棒グラフにて表した。2005年1月には、940名であった患者数は徐々に増加し、2007年末には2000人を超え3年間で2倍以上という増加率となった。また、現在においてもこの増加傾向は維持しており、患者の在宅マッサージへの必要性や認知度を示すものとなった。 (月間平均受療者数は2005年に1016名、2006年に1472名、2007年には1913名) |
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月別に疾患内訳をグラフに表した。このデータは、当所のシステム調整の関係で、2006年と2007年の2年間のデータのみにて分析している。 (脳血管障害/外傷性不全麻痺・不全麻痺・関節拘縮は原因は不明だが、同意された症状を記載、また不明者もその他に記載) われわれはリハビリ日数制限に伴い増加してくる受療者は脳血管障害後遺症患者と予測していたが、予想に反し、全ての疾患において増加傾向がみらた。 |
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患者の転帰を各年毎に表わし、右のグラフには全期間のものを示した。転帰項目は施術の継続、入院、休止、中止、死亡と5項目とした。 2005年は継続者60%(1082名)、2006年は55%(1262名)、2007年は74%(2079名)となった。 また、3年間全期間の最終転帰は継続52%、死亡12%、入院6%を含め休止17%、中止18%となり、全体の二人に一人は長期にて継続していることがわかった。(継続重複者分の減数があるため、3年間では継続者率は低下する) |
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3年間に治療を休止などせず継続して毎月1度以上受療した613名の身体機能を円グラフにて表した。身体機能の評価方法には、臨床において疾患別などにて様々な方法があるが、ここでは独自に歩行状態を評価した。 ここで「独歩可能」とあるが、決して健常者のように歩けるのではなく、短い距離であれば室外での単独歩行も可能というレベルである。また、「歩行可能」の項目に属すものは、主に室内における歩行が可能な場合を評価した。その他は、記載の通り。 結果、要介助歩行者が最も多く30%、次いで座位まで可能な者が22%だった。 |
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先ほどと同じく3年間継続して受療した患者の介護認定度を円グラフにて表した。母体数613名に対し、介護認定を受けているものは72%(440名)だった。また、最も多いのは要介護5の方だったが、その他の要介護2〜4までは差はみられなかった。 |

次に3年間継続して受療した患者の身体機能の変化と、介護認定の変化を2005年と2007年のデータを基に比較し、その変化を円グラフにて表した。身体機能の状況が維持されていた者は92%、悪化は4%、改善したものは3%で、マッサージを継続している患者は身体機能を維持していることがわかった。
また、介護認定においても同様に、変化がなかったものが71%、介護度が下がったもの(悪化)は0.3%、上がったものは(改善)は0.3%、非該当者にも変化はなく28%であった。
2005年-2007年の3年間の在宅マッサージ患者データを分析した。
・対象の3975名の属性は、男性より女性の方が多かった。
・また女性の方が平均年齢が高かった
・しかし、障害者認定を受けている方は、男性に多かった
・医師からの同意肢数に男女差はなかった
・総患者数は3年間で倍となり急増した
・疾患別の増加率は特に差はなく、全ての疾患にて増加した
・最終転帰として、治療を継続しているものは52%だった
・また、マッサージの平均受療期間は12.8か月であった
・長期間継続した患者は身体状況や介護度を維持していた
受療率が急増していることから在宅マッサージに対するニーズは高まり、また在宅マッサージの認知度が上がってきていることが明らかになった。またマッサージを長期間継続した患者は身体状況や介護度を維持していたことから、マッサージが身体機能の維持に寄与している可能性が示唆された。